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古田弁護士、堂森危機管理広報アドバイザーのコラム

弁護士 古田圭  危機管理広報アドバイザー 堂森哲雄

危機管理顧問/法務コラム② リスク管理マニュアルの必要性

2022年5月27日
弁護士古田圭

事故や不祥事が起きないようにするための現場のマニュアル、災害などの非常事態に現場でどのように対応するかのマニュアルを整備されているでしょうか。
企業が事業活動を行うにあたり、様々なリスクを伴うことになります。 そのため、会社法において、大会社 の取締役又は取締役会に対して内部統制システムを構築することを命じており この内部統制システムの一環として「損失の危険の管理に関する規程その他の体制」(会社則100条1項2号)を構築する義務があります 。
リスク管理マニュアルの整備はこの「損失の危険の管理に関する規程その他の体制」の構築の一内容となります。 そのため、大会社ではリスク管理マニュアル整備を検討することは取締役もしくは取締役会の義務であり、これを怠ると取締役が責任追及を受けることになります。 また、大会社ではなくても企業の事業の規模、特性に応じた相応の内部統制システムを構築することは取締役の善管注意義務の内容となると一般的に理解されているため、リスク管理マニュアルを整備していないことでの責任追及を受けるおそれがあります 。
こうしたマニュアルはどのように整備すべきでしょうか。 まずは現場で起こりうるリスクを想定して洗い出し、それぞれに対して予防もしくは発生してしまった場合の対処方法を文章化することから始まります。 その際に重要なことは、抽象的な書き方をするのではなく具体的な書き方をすることです。 例えば「…の場合に適切な対応をする」とか「必要な措置を取る」という抽象的な書き方ではどのように判断・対応すればよいのかが明確ではありません。そのため、現場ごとに対応がまちまちになったり、結果的に企業として不適切な対応になってしまいます。 そのため、マニュアルを読んだ現場従業員が自分で判断せずに機械的に対応できるような具体的な記述にしておくことが必要になります。 また、いったんマニュアルを整備したらそれで終わりではなく、実際にそのマニュアルを運用してみた現場の意見、例えば「使いにくい」「あまりにも無駄が多い」といった意見を定期的に聴取してマニュアルの改訂を行うことも重要です 。
こうしたリスク管理マニュアルを整備することは不祥事を事前に防ぐ、実際にリスクが発生したときのロス(損害の賠償や填補、企業ブランドの毀損)を回避するといった保険になるばかりでなく、コンプライアンスを遵守している、リスク管理をちゃんと整備しているという意味で企業価値を高めます。

危機管理顧問/法務コラム① プロバイダー責任制限法の改正

2021年5月24日
弁護士古田圭

インターネット上で誹謗中傷を行う発信者の特定がしやすくなる「プロバイダー責任制限法」が今年4月21日参院本会議において全会一致で可決され、2022年末までに施行される予定です。
これまで、インターネット、SNSで誹謗中傷を行った者の特定、責任追及を行うにはかなり複雑な法的手続を踏む必要がありました。
手続の内容はケースバイケースですが、大まかには、①記事が投稿された運営サイトから記事の投稿のIPアドレスを開示してもらう、②そのIPアドレスに関する経由プロバイダーを調べる、③プロバイダーがそのIPアドレスに関する発信者情報を消去しないように裁判所から仮処分命令を出してもらう、④プロバイダーに対して発信者情報を開示するよう民事訴訟を提起する、⑤開示された発信者情報に基づき、投稿者に損害賠償請求をする、…という読むだけでも手続を躊躇してしまう複雑さです。
手続が複雑なため時間がかかりますし、弁護士費用などの費用負担が被害者側にかかってしまいます。 こうしたハードルの高さから誹謗中傷を行った者の特定、責任追及が不十分となり、その結果、被害者保護が不十分になってしまうことが社会問題化しました。
そのため、今回プロバイダー責任制限法が改正され、①から④までが1回の裁判手続で済むようになりました。 私も過去にこうしたケースを扱ったことがありますが、今回の改正によって、手続に要する時間が短縮され、手続が簡易になった分、弁護士費用も以前よりは低く抑えられるようになると思われるので、誹謗中傷記事を投稿した者の特定がかなりしやすくなりました。
自社製品や自社ブランド・イメージに対する謂れのない誹謗中傷で悩まれている企業の皆様にとっても朗報といえます。 今回の改正によって、誹謗中傷記事の投稿が抑制されることを期待します。